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ラボ広報担当の備忘録

メディアフォースラボ広報担当の滝川陽一です。技術関連ブックマーク、広報などなど書いていきます。
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2010-05-17

トピック解説「HTML5」

| 18:19

 現在のWWW(World Wide Webの略、インターネットイントラネットで標準的に用いられるドキュメントシステム)で利用される技術や仕様の標準化を行っているのはW3C(WWW Consortium)と呼ばれる団体です。マサチューセッツ工科大学欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)らが1994年に発足しました。このW3Cが制定しているWebページを表示する為のマークアップ言語が「HTML(HyperText Markup Language)」で、最新版はHTML 4.01になります。WebブラウザはこのHTMLを読み取って画面描画し、我々が普段閲覧しているWebページを表示します。


 ところが、長らくWebブラウザデファクトスタンダードであった米国Microsoft社の「IE(Internet Explorer)6」がこのW3C規格のHTML4.01に準拠していないのです。インターネットが流行り始めた当初、IEはNetspace Navigatgor(Netscape Communications社のブラウザ)とのシェア争いから機能追加を繰り返したことが原因とも取れますが、結果として世界で最も普及しているWebブラウザ世界標準に準拠しておらず、それ以外のマイナーなWebブラウザ世界標準を準拠している、という矛盾した状態が長く続きます。


 この状態が長く続いて一番被害を被ったのはWebサービスの提供者です。W3C準拠でWebサイトを作るとシェアの大きいIEで動かない機能が出てしまいます。一方IEに仕様を合わせると他方が動きません。FirefoxSafariなど他のブラウザがシェアを伸ばしてくるとこの傾向はより顕著になりました。結果としてクロスブラウザ対応が開発者に義務付けられ、開発やテストに膨大な工数を要することになったのです。


 また、HTMLXMLをベースとしたマークアップ言語ですが、XMLとしては仕様を十分に満たしておらず、中途半端なXML言語のようなもの、という位置付けでした。この状況を改善する為にW3Cが「XHTML」という、XMLのルールに沿ったマークアップ言語を開発しますが、それまでのHTMLの記述に慣れてしまった人たちの間にはうまく広まりませんでした。


 その他、Webに対する要望は増してきており、Ajaxのような非同期通信やリッチなUIが求められるものの十分に要求が満たせず、Flashらに後れを取るようになります。


 HTML5とは、これらの状況を改善するために、W3Cで新しく策定されているHTMLの標準規格のことです。各ブラウザで仕様を統一し、また理想論よりはより実践的な仕様に落ち着かせることで、開発者のコストを下げることを目的としています。

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 主な機能としては、2D & 3Dグラフィックスの強化、SVG(Scalable Vector Graphicsの略、ベクター形式の画像データをXMLで定義)のサポート、クロスドメイン(自サーバ以外からのデータ引用)対応、ローカルストレージセッションの採用、SQLiteの採用、バックグラウンド処理、Push配信、OS連携、カレンダーや動画再生といったリッチコンテンツ専用タグの採用、などが挙げられます。


 現在、HTML5の機能は、IE8、Firefox3.6、Chrome4、Safari4、Opera10といった最新のブラウザで一部が既に採用されています。完全準拠はそれぞれのブラウザの次バージョンになりそうだというのが大方の見方です。


 ただ、HTML5は現在のところ、まだ完全に仕様が確定していません。これは各ベンダー間の利害関係により細部の仕様決定に障害が生じているためです。たとえば、動画再生を行う為の<video>タグは、ブラウザ側にどんな種類の動画ファイルを読めるようにするか、予め実装が必要になります。しかし、殆どのブラウザベンダーが現在Flashビデオ等で主流となっているH.264を採用しようとするのに対し、オープンソースで開発されているFirefoxは、使用料金が必要なことからH.264採用に反対しています。SafariFlashプラグインとの決別を実質的に宣言していますが、ChromeFlash Playerの内包と自動アップデート対応を宣言しました。IECanvasへの対応を最近まで見合わせており、IE9でやっと実装を行うことになりました。

 2012年3月に正式に勧告する予定ですが、それまでに決めるべきこと、各ベンダーが対応すべきことは山ほどあるのが現状です。


 とはいえ、今後Webのフロント開発の主流になることは間違いなく、非常に注目度の高いテーマです。現在でも既に毎日何かしらの関連ニュースがIT系ニュースサイト報道されている状況です。日本でもユーザーグループが最近加入者が2,000人を突破したと発表がありました。勉強会も都内を中心に頻繁に開催されています。

Webを巡る論争。AdobeとAppleの泥仕合の行く先は如何に?  ~2010/05/10の社内メールマガジン編集後記から~

| 18:17

 iPhoneをお持ちの方は御存じだと思いますが、iPhoneではFlash Playerが動きません。iPhoneに限らず携帯電話は搭載したメモリ容量がPCのそれと比べて非常に小さいので、メモリを大量消費するFlashをどうしても盛り込む事が出来ず搭載を断念した、というのが当初の大半の意見でした。


 ところがどうも違うようだと気付くのはそのすぐ後です。Apple社は一年

おきに後継機をリリースし、都度メモリも増強したにも関わらずFlashを一向にサポートしないのです。Flash Playerの配布元であるAdobe Systems社は当初から一環してiPhoneFlash搭載を望み、Apple社へ協力を要請し続けましたが梨の礫。痺れを切らしたAdobe社は、新リリースのFlash開発環境「FlashCS5」でiPhoneアプリのパブリッシュ機能を用意しました。


RIAトピックス 【ITmeida】FlashアプリがiPhoneで動く――Adobeが変換ツール


 iPhoneの開発言語:Objective-CIDEは、実質的にMacintoshiPhoneの専用ですが、他のそれと比べて使い難く、開発者も少なかったのが実情。一方Flash Playerは全PCの90%強をカバーしており開発者も潤沢です。FlashiPhoneアプリが開発出来れば今まで以上に多くの開発者が参入できますし、それ以上に無数の既存Flashアプリを簡単に移植出来ます。App Store(Web上のiPhoneアプリ流通市場)が爆発的に活性化する事は間違いありません。


 ところがAppleは、先日のiPhoneOS4発表と同時に、FlashCS5で開発されたアプリApp Storeから締め出す事を発表しました。非公開APIを無断使用する不正行為だというのが彼等の弁ですが、これは明らかな敵対表明。これを受けてAdobe社は、これ以上iPhoneへのトライは不毛と判断、iPhone社との決別を表明、対抗する形でスティーブ・ジョブズ:Apple社CEOも声明でFlashAdobe社を痛烈に批判します。


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S・ジョブズ氏、「Flash」に対する考えを公開書簡で明らかに - ZDNet Japan

動画:Adobe CEOがジョブズに反論:「批判は偽装工作」 - Engadget 日本版


 ジョブズ氏はPCを前提としたFlashUIモバイルにそぐわない、HTML5があるからFlashは不要だ、と断言します。確かにFlashマウスオーバーはタッチパネルでは実現出来ない等その意見には一理あります。しかしHTML5は今回のトピック解説でも紹介したように仕様確定にはまだ数年が必要です。

 一方で、Apple社の対応はApp StoreによるビジネスモデルFlashに容易に崩されるのを恐れるからだ、という見方をする方もいます。Flashがあれば確かに同等の事が実現出来ますから、Appleとしては死活問題でしょう。


 既にスタンダードであるFlashを排してまでWebを再構築しようとしているApple社スティーブ・ジョブズ。この判断は果たして正しかったのでしょうか?それは時間が答えを出してくれるまで、誰にも分かりません。




※ 上記は5/10時点で記述したものですが、AppleAdobeの論争は現在も続いています。

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